更新日: 2025/10/28
回収期間(Payback Period)とは?意味・計算式・具体例と注意点
回収期間は「初期投資をどれくらいの期間で回収できるか」を示す基本指標です。 資金繰りや短期の意思決定で有効ですが、将来価値を反映しない点などの弱点もあります。本記事では正しい計算式、実務での使い方、ROI/NPV/IRRとの違いまで整理します。

回収期間とは
回収期間(Payback Period)は、初期投資額を、プロジェクトや施策から得られるキャッシュフローで取り戻すまでの期間です。 「いつ黒字化するか」が直感的に分かるため、資金繰り・短期判断に向いています。
回収期間の計算式
等額のキャッシュフロー(毎期一定)の場合:
回収期間(年) = 初期投資額 ÷ 年間キャッシュフロー
不等額(期間ごとに異なる)の場合:累積キャッシュフローが0になる期を線形補間で求めます。
計算例(実務での使い方)
例:初期費用 200万円、毎月の純キャッシュフロー(削減/増益−維持費)が 40万円 の場合:
- 年間キャッシュフロー = 40万円 × 12 = 480万円
- 回収期間 = 200万円 ÷ 480万円 ≈ 0.42年(約5か月)
期間ごとに金額が異なる場合は、ROIシミュレーターで各月の前提値を変え、累積の交点(月)を確認します。
長所と短所
長所
- 直感的に理解しやすい(黒字化までの期間が一目で分かる)
- 資金繰り視点で有用(回収の早い案件を優先)
- データが少なくても概算しやすい
短所
- 回収後のキャッシュフローを評価しない(長期価値を無視しがち)
- 時間価値(割引率)を考慮しない
- 不等額CFでは厳密さに欠ける(割引回収期間などの補助が必要)
ROI・NPV・IRRとの違い
意思決定では、回収期間だけでなく、ROI/NPV/IRRも併用すると精度が上がります。
次のステップ
FAQ:よくある質問
割引回収期間(Discounted Payback)とは?
キャッシュフローを割引率で現在価値に直し、累積が0になるまでの期間を求める方法です。時間価値を考慮できるのが通常の回収期間との違いです。
どのくらいの回収期間なら“短い”と判断できますか?
業界・規模・金利・リスクで異なります。一般に1年以内は“短い”と見なされがちですが、NPV/IRRと併せて判断してください。
回収期間だけで意思決定しても良いですか?
短期的な資金繰り判断には有効ですが、長期価値は測れません。ROI/NPV/IRRも併用するのが実務のベストプラクティスです。
